永源寺派布教師中川詳心師の法話
臨済宗連合各派布教師 願成寺住職 中川詳心師の法話を投稿させて頂きます。中川師は永源寺派広島教区願成寺住職で昨年臨済宗連合各派布教師に任命されました。
『こころをほどく』
広島県・願成寺 中川詳心
新型コロナウイルス感染症が私たちの生活に大きな恐怖と様々な変化を与え始めてから一年がたちました。マスクを着けての外出は当たり前となり、友人などと会って話をする事もままならない日常が続いています。そんな時、ある方から次のような質問をいただきました。「新型コロナウイルス感染症の終息の目途が立たず、何かと不安になることが多いのですが、どうしたらこの不安が少なくなりますか?」という質問です。マスクの着用・三密の回避・不必要な外出の自粛など、様々な制限によってこころの窮屈さを感じることが多くありますね。すると、どうしても会話が減ってしまい、孤独を感じてしまうのが、自らを不安にさせている一つの要因になっていると思います。
しかしこのような時だからこそ、改めて自分の生活に目を向けてみましょう。マスクなどの様々な制限によって、必要以上に言葉数が減ってはいませんか?挨拶やお礼の言葉など、ごく短い当たり前なことまで制限していませんか?
私たち臨済宗では坐禅を行いますが、坐禅の大切なポイントの一つが息を吐き切るということです。息を吐き切ることによって、新たな空気をしっかり吸うことが出来ると呼吸が深くなりこころも落ち着きます。それと同じように、挨拶やお礼などの言葉を口にすることによって、私たちのこころのつかえを言葉に乗せて吐くことが出来ます。そして何より相手があることですので、挨拶をすれば挨拶が返りますし、お礼を言えば笑顔が返ってくるはずです。こうすれば、私たちのこころのつかえがとれるだけではなく、笑顔が返ってくれば嬉しいですよね。そして相手の心をも解きほぐすことにもつながります。
こころがほどけた人が「ほとけさま」であると仏教ではよく言われます。しかし実は、自分のこころだけではなくお互いのこころを「ほどき」「ほどかれ」あっている関係にあることに気付くことが出来る人が「ほとけさま」です。笑顔が増えれば、コロナ禍での孤独感や不安もなくなっていくはずです。
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